kimunori10’s diary

マラソン、スポーツ、トレーニングを中心とした雑記ブログ

ルーティーンを行うことによる効果について

スポーツ選手が動作を始める前に、ある一連の動作を行っていることがあります。
スポーツをしている、またはしていた人、テレビなどでスポーツ番組を見た人なら、一度は見てその真似をしたことがあるかもしれません。
ここでは、スポーツ選手のみならず、私たち一般人にも応用できるルーティーンの方法や、ルーティーンを行うことによる効果や、有名スポーツ選手や著名人のルーティーンの動作をご紹介していきたいと思います
 
では、そもそもルーティーンとは、どういったことを差すのでしょうか?
一般的には、一連の同じ動きをすることをいいます。「日々の決まりきった行動」という言い方だと、もっとしっくりくるかと思います。
日々の生活の中で、我々が何気なく行っている行動の1つ1つが、実は皆さんが無意識に行っているルーティーンなのです
朝起きて、顔を洗う、歯を磨く、カーテンを開ける、水を飲むなど、皆さんそれぞれに朝起きてすぐに決まった行動をしていると思います。それこそが皆さんの「ルーティーン」なのです。
 
スポーツ選手にとっては、このルーティーンをうまく使いこなすことが、夢や目標を達成する可能性を大きく広げることができるのです
例えば、ラグビーW杯で一躍注目を浴びたラグビー日本代表五郎丸歩選手や、元メジャーリーガーのイチロー選手、そしてメジャーリーガーの前田健太投手など、有名な「ルーティーン」を持っているアスリートは数多くいます。
また、他にも有名な著名人が多種多様なルーティーンを持っており、自分の参考になるようなヒントや方法が見つかるかもしれません。
 
ところで、ルーティーンを行うことによって、どのような効果が得られるのでしょうか?
ルーティーンには、主に以下の3つの効果が挙げられます。
1.成功の妨げとなる思考や行動を防ぐ
2.不安や緊張を和らげ、心を整え、集中力を高める
3.プレーの確実性を高める
一瞬のパフォーマンスに懸けるアスリート達にとって集中力は必須のものであり、それを引き出すルーティーンは、ベストプレーを引き出すきっかけとなる心理スキルと位置づけられています。アスリートが身につけている技術の1つであると言えます。
 
例えば、以下のような種類が挙げられます。
1.ウェイティングルーティーン(本番を待っているときに行う)音楽を聴きながら気持ちを落ち着かせたりする
2.プレ・スタート・ルーティーン(本番直前に行う)円陣を組んだり、理想のプレーをしたりしている自分をイメージする
3.プレ・パフォーマンス・ルーティーン(プレー直前に行う)アスリートがパフォーマンスを発揮する直前に行う。スタート前の十字を切る
もちろん他にも方法はありますが、状況や場面に応じたルーティーンがあるので、自分にあったルーティーンを確立できると良いでしょう。
 
ルーティーンの目的としては、いつも通りの行動をすることによって自信を保ち、邪魔な思考を排除し、集中力を高めることにあります
そして、ルーティーンを利用すれば、仕事や勉強のパフォーマンスを高めることができます
 
ここからは、ルーティーンを行うことによる効果について1つずつ見ていきましょう。
1.やる気のスイッチが入る
ルーティーンは、仕事や勉強などに取りかかるための、切り替えるスイッチとして活用できます
「着席して温かいコーヒーを飲むと仕事モードになる」「ミントタブレットを食べるとリフレッシュできる」なども、無意識に行っているルーティンの例です。
もちろん飲食物だけでなく、「これを行えばやる気スイッチが入る」という特定の行動や動作があると、仕事や勉強をスムーズに始めやすくなります
 
2.気分を切り替えられる
気分を切り替えたいときにも、ルーティーンは役に立ちます
例えば、「失敗したら、自席を立って廊下に出て背伸びをする」というようなルーティーンを自分で決めておくと、落ち込んだりイライラしたりするといった気分から、素早く立ち直れるはずです。
「緊張をほぐしたいときは、人という字を3回手の平に書いて飲み込む」というおまじないを聞いたことがあるのではないでしょうか?
これも、決まった行動を通して気分を切り替える、ルーティーンの一種と捉えられるでしょう。
 
3.集中力を高められる
集中力を向上させる目的でも、ルーティーンは活用できます山口県立大学が2017年に発表した論文によると、非アスリートの学生13人に様々なタスクを行わせつつ脳波を測定したところ、ルーティーンを行なうことで「ダーツ」および「記憶作業中」の集中力が増していったそうです。
この実験結果によって、同論文は、ルーティーンによって仕事中のミスが減り、作業の質や精度が高まる効果が期待できると結論づけました。
 
4.努力を習慣化できる
日常にルーティーンを組み込むことで、勉強などの努力を自然と習慣化できます
例えば、「通勤時間は英語のリスニング教材を聴こう」というルーティーンを決めておくと、毎日リスニングのトレーニングを続けられるはずです。他にも、「ランチ中はオーディオブックを聴く」「入浴中、その日覚えた英単語を頭の中で復習する」「寝る前にベッドに入って単語帳を見る」など、様々なルーティーンが考えられます。
日々のルーティーンを手帳やアプリなどに記録しておき、毎日確実に消化できるように管理していきましょう。
 
ここで、スポーツ選手や有名人が行っている代表的なルーティーンについて、どのようなことを行っているのか見ていきましょう。
五郎丸歩選手
2015年、ラグビーで活躍する五郎丸歩選手のルーティーンが「五郎丸ポーズ」として流行しました。
両手を組み合わせ、人差し指を立てるしぐさは、フリーキックに集中するために開発されたルーティーンの一部です
五郎丸選手のメンタルコーチを務めたスポーツ心理学者の荒木香織氏によると、フリーキック前のルーティーンには、他にも「ボールを縦に2回転させてからセットする」「右手を前に出しながらゴールポストを確認する」など多くの手順があるそうです。一連の動作を完了することで、集中力アップに繋がったとのことです
 
槙野智章選手
ユニークなルーティーンで注目されたのが、サッカーの槙野智章選手です。槙野選手は試合前、左手に向かって「俺ならできる、試合に勝つ、闘え、走れ」などとポジティブな言葉を語りかけ、自分を奮い立たせているのだそうです。単にポジティブな言葉を唱えるだけでなく、いつも徹底して「左手を見る」と決めることで、ルーティンとしての効果が生まれています
 
相対性理論を提唱した物理学者アルベルト・アインシュタイン氏が行っていたのが、「仕事に取りかかる前に成功イメージを思い描く」というルーティーンです。
理学療法士でメンタルコーチングに詳しい濱栄一氏によると、目の前の仕事が終わる瞬間など「具体的かつ近い将来」をイメージすることで、向かうべきゴールが明確になり、仕事の能率や質が高まるのだそうです
ビジネスパーソンも「このプレゼンが成功したら」「この資料が完成したら」といった成功イメージを具体的に思い浮かべることで、今やるべきことや考えるべきことが明確になります。
 
英国の第61代首相ウィンストン・チャーチル氏は、「明るい色で思いのままに油絵を描く」というルーティーンをもっていました。
濱氏によると、絵を描くという能動的な作業によって、やる気を司るホルモンの分泌が促され、マイナス思考が緩和されるのだそうです
「明るい色を使う」ことにも、楽観的な思考を促す効果が期待できるのだそうです
チャーチル氏が科学的根拠を意識していたのかは不明ですが、落ち込んだときや嫌なことがあったとき、「明るい色で絵を描く」ことは合理的なリフレッシュ方法なのです。
 
・ルーティーン化のコツについて
ルーティーンは、トレーニングをすれば誰でも身に付けられます。人材育成コンサルタント・千代鶴直愛氏の解説を参考に、自分のメンタルをコントロールするルーティーンの身につけ方や使い方をご紹介しましょう。
1.過去の成功イメージを思い出す
まずは、ルーティーンによって引き出したい「過去の成功イメージ」を設定します
プレゼンテーション時の緊張を解くルーティーンを作りたいのであれば、「緊張せず堂々と発表できたときの記憶」を、仕事に集中するためのルーティンなら、「仕事に集中できたときの記憶」を思い描きましょう。
過去の成功イメージを、特定の動作や行動と結びつけることで、成功時の心理状態をいつでも引き出せるようになります
ラグビーの五郎丸選手なら、「五郎丸ポーズ」を含む一連の動作を行なうことで「ゴールキックがうまくいったときの自分の姿」を鮮明にイメージできるよう、トレーニングしたはずです。
「緊張を解くためのルーティン」を設定するなら、以下のような成功体験を想起するといいでしょう。
・これまでうまくできたプレゼンの記憶
・学生時代、コンクールや試合でプレッシャーに打ち勝った体験
・その他、発表や本番を成功させた体験
「あの時の自分はできたじゃないか」と励みになるような記憶であれば、小学校でのクラス発表会など、どんなに小さい成功体験でも構わないでしょう。
 
2.成功イメージを表現するフレーズを作る
描いた成功イメージを簡単な言葉で表現しましょう。サッカーの槙野選手が実践している「『俺ならできる』と試合前に自分に言い聞かせる」というルーティンのように、決まったフレーズを唱えることで成功イメージを引き出すのです。
緊張を解くためのルーティンなら、以下のようなフレーズが考えられるでしょう。
・私なら素晴らしいプレゼンができる
・私なら堂々と振る舞える
・みんなが聴き入るようなプレゼンができる
千代鶴氏によると、「自分にとって1番しっくりくる言葉」を選ぶのがコツなのだそうです。
「私は世界一のプレゼンができる」などというフレーズを設定してしまうと、「さすがに世界一は言いすぎだろう」と否定したくなり、成功イメージを引き出せなくなるからです。
 
3.ジェスチャーを決める
次に、ルーティンとして使うジェスチャーを設定しましょう。このジェスチャーがスイッチとなり、過去の成功イメージが想起されることになります。
ジェスチャーは何でも構いませんが、以下の3つのポイントを満たすのが望ましいでしょう。
・日常ではやらない動作である
・シチュエーションを選ばない
・簡単にできる
槙野選手の「左手を見ながら語りかける」というルーティンは、道具が要らず、いつでも簡単にできます。それに「左手を見る」というのは普段あまりやらない動きなので、理想的なルーティン動作だと言えるでしょう。
千代鶴氏は以下のような例を紹介しています。
・左手の親指の先と中指の先を合わせる
・左手の親指の爪を見つめる
・左手の親指を包んでグーをつくる
自分にとって違和感がなく、なるべくシンプルな動きを設定するのがおすすめです
 
4.成功イメージ・フレーズ・ジェスチャーを関連づける
最後に、1~3で設定した「成功イメージ」「フレーズ」「ジェスチャー」を関連付けていきましょう。「そのフレーズを唱えながらジェスチャーを行うと、勝手に成功イメージが浮かぶ」という状態を目指します。
関連付けの際は、成功イメージに集中できるよう、静かで誰にも邪魔されない環境を用意してください。ちなみに、千代鶴氏は「夜中の自室」を推奨しています。
設定した動作を行ない、フレーズを唱えながら成功イメージを思い浮かべましょう見えていたものや聞こえていたもの、感じたことなどをなるべく具体的に、鮮明にイメージするのがポイントです
 
このような練習を何度も繰り返し、動作とフレーズによってスムーズに成功イメージを導けるようになれば、ひとまずルーティンは完成です。あとは実践を繰り返しながら、ルーティーンを活用することに慣れていきましょう。
もう一度ここで、ルーティーンを行うことについての本質について、おさらいしていきましょう。
 
ルーティーンは、メンタルコントロールの1つの方法です
事前に決めた動作の流れを、いつも通り確実に実行することで、自分でコントロールできる「今・ここ・私」にフォーカスでき、不安や緊張が入る余地が無くなり、普段通りのパフォーマンスを発揮できる可能性を高めることができます
スポーツの場面でいうと、試合やレースなど「非日常的な自分」の状態を「いつも通り」に整える事で、実際のパフォーマンスに直結する現在の自分に意識を向け、修正ができるので根拠のある期待値となるのです
自分でコントロールできることによって自信が生まれるでしょう。
普段から準備をしてきて、当日の試合でその成果を出せるものは、積み重ねてきたという根拠が生まれます。
一方、過去の出来事に執着するだけの行為は、積み重ねも準備もなくそこに根拠は生まれません。
そのため、ルーティーンは「いつもの練習で積み重ねられる技術」と考えることができます
 
いかがでしたか?ルーティーンを持つことは、何も難しいことではありません。
ルーティーンを持っておくと、自分のメンタルを自由にコントロールしやすくなります。特に、緊張に弱い方や気分の浮き沈みの激しい方は、今回ご紹介した内容を参考に、自分なりのルーティーンを身につけてみてはいかがでしょうか?
 
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。