kimunori10’s diary

マラソン、スポーツ、トレーニングを中心とした雑記ブログ

加圧トレーニングについて

加圧トレーニングというのは、一時期流行ったトレーニング方法のうちの1つです
私が加圧トレーニングのトレーナーをしていた頃は、2000年代の後半から2010年代の前半にかけてで、ちょうどその頃トレーニング方法のうちの1つとして流行りました。
 
また、様々な雑誌や本、テレビ等で、有名人の方々が加圧トレーニングをしていることが話題になって、メディアに取り上げられました。
ですので、もしかしたら名前だけでも聞いたことがあるという人がいるかもしれません。
 
私が加圧トレーナーとして活動する前までは、名前をなんとなく知っている程度でした。
それから加圧トレーナーになる前に、入社してから研修で勉強をして、加圧トレーニングに関心を持つようになり自分でもトレーニングをしていました。
 
その頃は、私自身いい意味でトレーニングについて無知だったので、すんなり加圧トレーニングのことを勉強し吸収していたように感じます。
ただ一方で、長年トレーニング業界に携わっていた方々にとっては、加圧トレーニングについて賛否両論があったみたいです
私自身、月日が経ち勉強していくうちに、様々な疑問点や効果の程を感じるようになっていきました。
 
レーニング方法は、加圧トレーニングに限らず世に様々出回っています
チューブ、TRX、キネシス、それに今流行の体幹や、少し前にブームだったビリーズブートキャンプも含まれるかもしれません。
また、女性専用のお店が多い有酸素系のサーキットトレーニングもそうかもしれません。
まだまだ〇〇トレーニングと呼ばれる方法はあります。
 
私個人の意見としては、どのような方法や種類であれ、行った人が結果が出れば、どのような方法でも構わないと思っています
もちろん、安全に健康的に無理なく、継続して行え、効果が出ることが前提ではありますが。
今は、加圧トレーニングという言葉は以前に比べて、だいぶ耳にする機会は減ってきたと思います。
落ち着いてきたと言えるでしょうし、ブームが過ぎたからとも言えるでしょう。
 
これから先どうなっていくかは分かりませんが、現場で長年携わってきたので改めて加圧トレーニングについてお話しようと思います。
加圧トレーニングとは、腕と脚の付け根に専用のベルトで圧力をかけて、血流を制限して行うトレーニングのことです
低負荷・短時間で効果を出すことが可能な筋力トレーニングです血流を制限することにより、筋肉を素早く低酸素化させる事が出来ます
筋肉内が低酸素化すると、日常では使われにくい、多くの筋繊維(基礎代謝量に影響しやすい速筋繊維)を刺激する事が出来ます
 
まずは、加圧トレーニングのメリットをご紹介します。
1.短時間で効果が出る
最短30分で効果を得る事が可能です
加圧トレーニングは、上肢制限のトレーニングが約10分、下肢制限のトレーニングが約15分と言われています。合計約25分でもトレーニング効果を得ることができます。
その最大の理由は、 血液の制限から起こる筋肉内の低酸素化による「速筋繊維群の強化」です
もう1つは、加圧ベルトで静脈側を強く制限することで、血中の乳酸濃度が上昇し、その結果として成長ホルモン(※)が最大で290倍も分泌するからです
他にもアナボリックホルモン、アドレナリンの分泌が盛んになります。
成長ホルモン・・・筋肉と骨の成長を促す、脂肪を遊離脂肪酸に分解して血中に放出する。
※アナボリックホルモン・・・筋肉を作る為の指令をする
これらの因子により、短時間で効果を得る事が可能となります。
 
2.低負荷のためラクに行うことができる
通常、筋肥大(筋力アップ)を起こすには、高重量のものを、適切な回数持ち上げる事が必須条件と言われています。
加圧トレーニングは上記にもあるように、通常とは違うトレーニングメカニズムで行われるので、低負荷で低レップ(少ない回数)でも筋肥大(筋力アップ)を可能にしたのです
しかも、短時間でもできるということで、時間が確保しやすくなり、運動の継続性にも繋がります
結果的に、継続性が各個人の目標達成率の向上にも繋がります。(もちろん正しいトレーニングを行うことが大前提です)
 
3.体力がなくてもトレーニングができる
上記にあるように、高重量、高レップの運動を必要としない為、通常のウエイトトレーニングなどを実施する際に、フォームの安定が難しい方、筋力がない方、何かしらの疾病や制限がある方、運動経験が少なくトレーニングフォームが取れにくい方でも、安易にトレーニングが可能になりました。
加圧トレーニングの持っている、「低負荷」「短時間」という特性が、高齢者や機能的な制限を持っている方、トレーニング初心者までをカバーし、幅広い層の方に、適切な筋力アップトレーニングが可能になったのです
 
4.血流がよくなる
肩こりや浮腫にも効果的です。血管には、心臓から血を送り届ける動脈と、心臓へ血を送り返す静脈があります。
加圧トレーニングは、静脈側をやや強く制限することで、腕または脚に一時的に血液が滞留します
流れを塞き止められた川の様に、血液は次に流れる場所を探します。それが毛細血管の拡張に繋がります。
通常時の血流末梢抵抗を1.0とした場合、加圧トレーニングでは血流末梢抵抗値を最大1.7を目標とします。血流末梢抵抗値(※)が2.0を超えてくると、適正な効果が得られないとされていますので、空気圧をかける際には、注意が必要です。
※血流末梢抵抗値=血液の流れにくさを測る指標
血管の内皮は年齢と共に柔軟性を失ってきます加圧トレーニングを継続的に行うと、血管内皮の柔軟性を向上させる一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞に分泌されるというデータがあります
毛細血管を拡張し、血管内皮の柔軟性を向上することで、血液の運搬能力が向上し、血液が運んでいる「熱」「酸素」「栄養」その他免疫系の物質が、スムーズに全身(末端まで)に行き渡ることで、冷えや浮腫、凝りなどにも効果的です
 
次に、加圧トレーニングのデメリットをご紹介します。
1.負荷の選択が難しい
レーニングの特性として、当初は開発者の佐藤氏が、ボディビルの為に作ったものである事からも、当初の目的は「筋力アップと筋肥大(バルクアップ)」でした。
(※最新の研究では付属的な効果も次々解明されてきています)
加圧トレーニングを指導してきた経験上、負荷の選択、トレーニングメニューの選択を間違えると、上腕部(上腕二頭筋上腕三頭筋)など比較的、基礎代謝量と関係の薄い筋群の筋肥大が起こりやすいといえます
女性のボディメイクの場合、注意しなければいけないのはこの部分であり、加圧トレーニング指導の経験の浅いトレーナーは、強度の選択に注意するべきであると感じています。
加圧トレーニングの特異性である、筋力アップ、筋肥大のメカニズムを正しく理解しているトレーナーは、適切な筋力アップを行いながら、引き締め効果を狙うトレーニング処方も可能です。
特に女性は、ボディラインを崩すことなく、加圧トレーニングの恩恵を受けられるようなトレーニングプログラムを実施しているジムや施設、指導者の下でトレーニングを受けることをおすすめします
 
2.血流の制限には細心の注意が必要
血液を制限して、高強度のトレーニングに近づけていきますので、血流量が少なく、ミルキングアクション(筋肉による血管のポンプ作用)が弱い方は、貧血症状などが出る場合がありますので、細心の注意が必要です。そのため、事前の体調の把握と意思疎通がトレーニング前には大切になります。(低強度の加圧トレーニングから少しずつ実施する事で、貧血症状を出にくくすることが出来ます)
 
3.トレーナーにより効果に差が生じる
上記にも書いたように、レーニング自体が特殊なメカニズムによって成り立っていますので、十分に経験を積んだトレーナーに指導を受けるのが望ましいです
加圧トレーニングは、通常の運動生理学とは違う要素も多い為、正しい負荷とセット数などを考慮する必要があると思います
また、基本的にはパーソナルトレーニングでの指導が一般的ですので、トレーナーの指導能力やスキルによって、大きく結果が変わってくる可能性もあります
納得できるトレーナーやスタジオを選ぶ必要があります
 
4.専用のベルトを用いて専用のトレーナーをつける必要がある
一見するとメリットのようにも思えるのですが、これがデメリットにもなる場合があります。
加圧トレーニングをする場合のベルトは、専用のベルトを用いて適切に行わなければ、きちんとした加圧トレーニングは行えませんいくら適切な場所に何かの紐で縛った所で、血流は制限されませんし、何よりとても危険です。たまにジムで見かけますが、絶対に辞めましょう。
 
加圧トレーニングのメリットとデメリットを簡単にまとめましたがいかがでしたか?
私の結論としては、最初にも述べましたが加圧トレーニングをしたほうがいい、とか加圧トレーニングは効果が薄いから辞めた方がいい、とかどちらかに偏った意見を持っていません。
レーニングはそもそも、やらなければ効果が出ないからですレーニングをたくさんして、いろいろな方法を試して、いろいろなやり方をして初めて良い悪いが分かるものだと思います
たった数回で効果が出る魔法のようなトレーニングはないですし、これをしなければ効果が出ないというようなトレーニング方法はないと思っています。
加圧トレーニングは、あくまでもトレーニング方法の一種です。
もし加圧トレーニングに興味があるのであれば、加圧トレーニングの専門の指導者の下で、適切なトレーニングを行ってください。自己流で行うことだけはくれぐれも辞めましょう。
 
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。